禁煙の件。180818

俺の身体的前提条件その2。
とても他人様には言えないような年齢の頃から煙草を吸ってきた。家族の次に付き合いが永い。いや、独り暮らしをしていた年数も結構あるので、その間も起きてる間は肌身離さず、だったから、「共に過ごした時間」ということではすべての事物のなかで圧倒的1位だ。
言い訳をする。時代がそうだった。大人になる=煙草を吸う、だった。例えば中学校の卒業遠足、皆進路もある程度決まった3年生の後半に行うんだけど、なぜか「何をやってももう教師は注意しない」という不文律?があって、ほぼ全員の男子生徒、一部の女子生徒も皆煙草を吸っていた。いじめられっ子のF君もゲホゲホ言いながらも頑張って吸っていた。さすがに山手線に乗ってる間に煙草を吸うのは勇気が要ったけど、新宿のロータリーの交番の前で学生服で吸ってたって何も言われたことはなかった。東京は特に弛かったようで、その後諸事情により移り住んだ関西の地方都市で高校生として通学中の朝、学生服着て煙草を買おうとして駅のキオスクのおばさんに「よう売られへん」と断られて心底驚いたことを覚えている。そこら辺は石原都知事以前と以降で同じ都市とは思えないくらい違っている。あぁ、言い訳が長くなった。

禁煙の経緯。去年じゃなくて一昨年の年末に左耳から喉にかけて帯状疱疹を発症した。といってもそのときは「耳に出来物ができた」程度の認識で、えらく痛むなぁと思いながら軟膏塗って過ごしていたら1週間ほどで治った。そのあと喉の左側が変に痛むのが続いたけど、関連があるとは思わなかった。
1ヶ月後、顔の左側が軽く麻痺する。さすがに左側ばかりでおかしいと怖くなってググってみると、帯状疱疹からの顔面麻痺のコンボに「ハント症候群」というのがあるらしいと知る。治らない場合もあるらしい。
震え上がって大きめの病院に行くと、いろいろ検査した上でハント症候群だと。しかしこの病院には耳鼻科が常駐していないのでもっと大きい病院を紹介する、緊急なので最速の予約を入れた、すぐにタクシーで行ってくれ、と言われる。タクシー代幾らだろうと思いながらも色々諦めの境地で向かう。
先ほどの若いお医者さんとちがう、凄腕感漂う中年のお医者さんから「帯状疱疹発症から1ヶ月経って顔面麻痺、これはハント症候群ではない」と言われる。世界的にみても過去にそれだけ間隔が空いた例はないとのこと。万が一があるので各種精密検査を行うが結果は後日。それまでに麻痺が進行したなら連絡しろ、でも終息するはず、と言われてその日は帰った。
2~3日でお医者さんの予想通り終息した。精密検査の結果を聞きに行くと、帯状疱疹が発症していたことは間違いないとのこと。そして今ある喉の痛みと味覚の不調も付随する症状で、いつ治るかはわからない。帯状疱疹自体は終息しているので治療はしないが、もし再発した場合、現在は根治できる療法があるけれど、あなたは重度の糖尿病なのでそのままでは適用できない。入院して治療することになる。「真面目に糖尿病と向き合ったほうが良いですよ。身体の悪化が進み出したら、不可逆的に一気に悪くなるよ。」と最後に言ってくれたのが印象に残っている。

ようやく禁煙そのものの話。2017年2月5日。ハント症候群騒動?も収まり、麻痺も完全に終息してホッとしたものの、喉の痛みと味覚の鈍さは変わらない。部屋で煙草を吸っていて思った。この1ヶ月ちょっとの間、煙草を吸うと喉が痛むし何も味はしない。一体俺は何で煙草を吸っているんだろう。
我ながら理不尽に過ぎるとは思う。怒りにつつまれた。俺がこんなに困っているのに、こいつ(煙草ね)は全然助けてくれない。安らぎを与えてくれるどころか、悪い体調に被せるかのように喉を刺激し旨くもなんともない味がする。永い付き合いなのに何だこいつは。ただ俺を支配しているだけじゃねーか!
怒りに任せて物事を決め、上手く行かなかった(失敗したとは言いたくない)ことは過去に山ほどあるけど、怒りに任せて決めたことを後で変えたことはほとんどない。このときも怒りのせいでこの瞬間に煙草を止めた。ほとんど苦労せず、ニコチンの禁断症状のようなものは一切無かった。

煙草を止めて起きたこと。前のエントリに書いたように高血圧になった。やめて1ヶ月後、低血糖で昏倒して救急車で運ばれた。原因は禁煙で血流が良くなってインスリンが効きすぎるようになったためだそうだ。そして最近まで続いた異常に長期のしゃっくり。それと入れ換わるように発症したCIDP(疑い)。これは俺の素人の憶測だけれども、子供の頃からの喫煙で抑圧されてきた心臓や血流が急に活発になって、中年の身体が対応できずに悲鳴を上げているんじゃないかと思う。
今のところ良かったことは一つだけ。ヤニ汚れが消えて歯が白くなった。それだけ。「煙草を止めるとメシが旨くなる」って良く聞く。確かに俺も味覚も鼻も良く利くようになった。けど、良くなりすぎた。前は美味しく食べていた食べ物の添加物の味が気になって全く食べられなくなる。旨いと思っていた蕎麦屋の出汁の味⚪素のキツさで気分が悪くなる。そんなのばっかり。かつ、これは今も進行中。先週も最近まで美味しく食べていたレトルトのミートソースの添加物が気になって、途中で食べるのをやめた。もう食べられない。
嗅覚で言えば煙草のにおいと煙に異常に敏感になった。自分も最近まで同じ穴の狢だったんだから文句を言ったりするのは嫌。けど煙草を吸っているところに近付くのは正直すごく辛くなった。

禁断症状といったものは殆ど無かったんだけれども、未だにボーッとしているときに「ちょっとトイレ行ってくるか。煙草は何処だ?」って探していたり、仕事終わりに「さて、一本吸うか」って考えていたりしていて愕然とすることがある。あ、これが禁断症状か。それに夢は結構頻繁に見る。決まって絶対吸っちゃいけない場所、例えばデパートの店内で一服して「何で煙草を吸っているんだ」「何で煙草を持ってるんだ」「こんなところで吸っていたら注意される!」といった考えが一遍に沸いてきてパニックになって目が覚める。毎回このパターン。

再び煙草を吸うことはないと思う。恥ずかしいけど、今の俺が煙草に対して持つのは「喧嘩別れした恋人」に持つような感情。永い付き合いだったけど、最後は嫌な思いだけして別れることになった。未練はあるけれど、仲が戻ることはない。俺は今まで喧嘩別れした人間と関係修復をしたことがない。

以上、無聊に任せて長々と書いた。2日かかった。禁煙についてのあれこれはこれで全部かけたと思う。